古民家移築販売サイト 結

移築事例

宮崎県新富町
- Shintomi -

「強運」な古民家

宮崎県を代表する観光地のひとつ、高千穂町の駅前に佇んでいた茅葺き。
同じ町内から、古来の暮らしを保存する目的で50年前に1度目の移築されました。

近年劣化が進み、駅前という立地ゆえの安全性や改修費用の課題から一度は解体が決定。
しかし地域の方々から惜しむ声が上がり、移築先の公募が行われた結果、まさに期限最終日の夕方ギリギリに申し込みがなされたそうです。

当初は移築先も確定しておらず、とにかく存続させるための決断がされたといいます。

移築先は同じ宮崎県内の新富町に。
2度の移築を経つつ推定築120年を迎えます。

実は状態のよかった古材

経年劣化の見られた古民家も、実は非常に状態がよかったそうです。
古材は洗い刻み直され、傷んだ箇所は継ぐなどし、材・建具・囲炉裏などはそのまま使用できたほど。

 
 
茅葺も4割が再利用です。

足元から屋根上までを再利用

移築時には基礎部はそっくり新しくなるケースが多い中、伝統的な石場建(いしばだて)を採用、その礎石も再利用されました。
地中梁を施し、コンクリートを敷均しされ、足元はしっかり強化。伝統耐震診断で安全性も確認されています。

 
 
小屋組みもわら縄で緊結、茅葺屋根が戻り、屋根上にはかつての高千穂地域ではよく見られた民家様式である、神社のような「千木(ちぎ)」も残されています。

さらなる100年を望む

茅葺は、集落の住民総出で助け合い協力し合う、「結(ゆい)」の精神で維持されてきました。
今回の移築も、複数の団体の協力で実現に至っています。
いずれ迎える葺き替えも、結のスタイルで行われるかもしれません。

今後は新富町の新たな観光拠点として歓迎され、古民家宿として運用予定で、現代的な利活用によって継続的な維持管理の展望も見据えられています。

「材も丈夫だし、あと100年はもつと思います。」とは移築に携わった方の言葉。

ハード面でも、ソフト面でも、今後の100年に注目したい移築事例です。

Information

所在地 :宮崎県児湯郡新富町