結ばれたご縁
街中にあった旧家。築90年ながら住んでおられたので状態は良好でした。
息子さんたちが建て替えの為に解体を検討するもおじいさんは反対。そこで移築の提案をしたところ、喜び納得されました。
土地と古民家を探しているというご夫婦に、この旧家と、移築先の土地を観ていただいたところ気に入っていただき、計画が進みました。
移築先は、山の中腹で元家を解体され更地になっていた場所。
敷地の南側は木立の間から平野が見下ろされ、北側は山菜も取れる山・畑・わずかな清流が流れサンショウウオも生息している閑々たる地です。
元から佇んていたように
山あいに元々から佇んでいたように。
それを実現するため地元産の石州瓦葺き、板壁としっくい塗りの壁としました。
玄関ホールは広く取り三和土土間。
北側(裏側)は気密性確保の為アルミサッシを採用しましたが、玄関及び広縁はストック品より選定し木製建具にこだわったそうです。
統一感の演出
趣味の作業が出来る広い土間スペース、畳の部屋は客間のみ元々の室来を再現。
後の部屋は、床はすべて杉板、壁は珪藻土、天井は今まで隠れていた小屋組みを現しています。
囲炉裏の部屋は高さを確保するために元の竿縁天井を大ばらしし、高い位置に取り付け梁を現しとなりました。
増築された不要な部分は減築、柱位置は極力同じ位置に。
寝室には既設の入替品が納められるよう小屋裏収納を設けられています。
食卓・机・囲炉裏テーブルすべて大工で作成することで統一感を。
内部建具・食器棚扉・など既存品又は大工方のストック品を採用し新建材は一切なしと徹底されています。
薪でも焚けるハイブリットな五右衛門風呂
オール電化住宅ながら、浴槽は五右衛門風呂を設置しエコキュートによる給湯と裏山の薪で焚けるハイブリッドです。
下水道も整備されており、古民家と言えども衛生面でも快適です。
床下に調湿効果のある炭が敷き、床下・壁内はスチロール系の断熱材を施し、屋根瓦下に成型スチロールの断熱材を採用。断熱性を高め木と珪藻土の調湿効果より快適な住まいとなりました。
耐震壁量を確保して耐震性もアップしています。
旧家の元所有者が完成後訪れ、感銘を受けておられたそうです。
古民家の移築は、材だけでなく思いも受け継がれていくのではないでしょうか。
Information
所在地 :島根県出雲市